保険金詐欺の手口を見破るのが保険調査員が行うモラルリスク調査なのか?

保険金詐欺の手口を見破るのが保険調査員が行うモラルリスク調査なのか?

前回、小林稔侍さん主演の「保険調査員しがらみ太郎の事件簿」の「保険調査員」という仕事については話をしましたが、今回は、普通の交通事故の保険調査ではなく、かなり特殊な保険調査についてお話します。

それは何かといいますと、「モラルリスク調査」と呼ばれているものです。

モラルリスク」とは、保険業界の用語になります。保険金や給付金を不正に取得することを目的とした潜在的なリスク要因を意味します。

また、「モラルリスク調査」とは、ひと言で言うと「不正請求を見極めて、有無責の判断をする調査」と言えるでしょう。

さらに「訴訟に対抗できるだけの材料を収集する業務」を付け加えることもできるでしょう。

保険金詐欺は多いようですが、保険金詐欺の手口を見破るのが保険調査員が行うモラルリスク調査なのでしょうか?

Sponsored Link

モラルリスク調査の現状とは?

分かりやすい事例で説明すると、自分の所有する車両に自分自身で傷をつけて、車を駐車していたら誰かにやられたと言って保険金を請求する事案が「モラルリスク調査」となります。

オークションでベンツを安く手に入れてきて、意図的にそのベンツを琵琶湖に水没させて、保険金を請求する事案も「モラルリスク調査」になります。

では、安く落札したベンツを水没させて、なぜ儲かるのでしょうか?

自動車保険に加入するときに車両保険に入りますよね? とくに新しい車の場合は。

車両保険の保険金額を決めているのが、各保険会社が所有している「車価表」(自動車保険車両標準価格表)と呼ばれるものです。

どうやら外国産の自動車は、その車価表での評価額が高いようなのです。パーツ代が高いですし。

オークションでの落札価格と車価表での評価額に差があればあるほど、保険の不正請求者が儲かるようになっているのです。(もちろん、不正請求に気づかれない場合は、ですが)

「モラルリスク調査」とは、平たく言うと、不正請求の疑いのある保険調査のことです。

保険調査員の仕事は、これらの事案が不正請求なのかどうかを判断することが仕事になります。

軽い気持ちで便乗請求するかたが多いようです

ある事故が保険事故であるためには、「偶然の事故」でなければならないという大原則があります。

自分で自分の車を傷つけた悪戯事故や自分で自分の車を水没させれば、「偶然の事故」ではないことは明らかです。

この場合、保険会社に保険金を支払う義務はありません。

また、保険契約者の行為は不正請求にあたります。これらの判断を保険調査員が行うわけです。

ただし、判断はしますが、保険金を支払うかどうかは、当然ながら保険会社が決めることです。

保険会社が保険金を支払わない場合もあります。

保険契約者が裁判に訴えてきた場合に備えて、勝訴するために材料を集める役目も保険調査員が行います。

保険調査員は常に裁判のことも頭に入れて調査する必要があるのです。

自分で自分の車を傷つけておいて、悪戯されたと言って保険金を請求する保険契約者は想像以上に多いのです。

完全に自分だけで自分の車を傷つける場合もあれば、本当に見知らぬ人に傷つけられたときに「ついでにここもやられたことにして請求してしまえ」と一部分だけ自分で傷つけて請求するといった便乗請求も多いようです。

ダメ元で請求してみるといった軽い気持ちで請求するかたがいますが、これも立派な不正請求になります。

自動車保険には、「1事故1扱い」という原則があって、別々の事故で発生した損傷を1度に修理することはできません。

それぞれ別扱いになりますので、修理するのなら、保険を2回使うことになります。

モラルリスク調査で保険調査員に求められていることとは?

Sponsored Link

モラルリスク調査において、保険会社の担当者が知りたいのは、保険契約者が関与したかどうかです。

なぜなら、関与している場合、保険契約に基づいて保険金をお支払いする必要はなくなるからです。

保険金を支払う必要があれば、保険会社は当然ながら速やかにお支払いする義務がありますし、そもそも支払う必要のない事故であれば支払わない、ただそれだけなのです。

世の中には不正に請求する保険契約者がたくさんいます。

そのため、保険会社もすべての保険事故が不正請求ではないかと目を光らせる必要があり、その結果、保険の処理に時間がかかってしまうのです。

近年はちょっとでも違和感のある保険事故なら、保険の調査を入れる傾向にあります。

請求されたら請求されただけそのまま支払っていたのでは、保険会社の経営が立ち行かなくなってしまいます。

まずは調査を入れて事実を確認するのです。

偽装事故は、不正請求者の意図した企みがあるので、必ず事故のどこかに偶然ではない部分が含まれています。

保険調査員はその偶然ではない部分がどこにあるのかを判断する必要があるのです。

これを見落としてしまっては保険調査員ではないですし、真正な事故を偽装事故だと見誤ってもいけません。

もし、見誤ることがあれば、保険契約者の人生を大きく変えてしまうことにもなりかねます。

だからこそ、慎重に調査する必要があります。

保険調査員には高度な技術と崇高な職業倫理が求められると僕は思っています。

これらがそろって初めて、モラルリスク調査という難しい調査ができるのです。

仕事柄、僕はいろいろな保険調査員と知り合いました。技術や知識にバラツキがありますが、みなさん、事故現場で何が起こったのかを真剣に探っておられました。

真面目に保険料を支払い続けている善良な保険契約者さんのためにも、不正請求はなくなってほしいものです。

Sponsored Link